desk of dusk

It's not dawn.

印刷用紙から探す、万年筆向け用紙の旅 ⑧

 サクサクと。今回はアルトクリームです。琥珀Nと同様にクリーム上質紙となってはいますが、書籍用紙のカテゴリにしれっと放り込まれているやつ。琥珀Nとの差異はアルトクリームのほうが色味がクリーム調で若干塗工量が多そうな印象です。

5斤量で66.3~104.7g/㎡、46判換算<57>~<90>ですが下2斤量はB判、A判しかありません。

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心の声が出てしまいました。とても早く乾きますがとてもにじみます。

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裏抜けもこの通り、やはりなかなかのものです。

残念ながら全斤量裏抜けです……。最後の方は惜しいところまできたのですが。

 

さて気持ちを切り替えて、次はアルトクリームマックスです。

名前からもだんだんわかるようになってきているかと思いますが、アルトクリームの嵩高品です。

4斤量がラインナップされており、61~80g/㎡で46判換算<52.5>~<69>です。

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良いニュースです。にじみもなければ裏抜けもないです。乾きに関してはやや遅めですが体感10~15秒程度、塗工量の差でしょうか。実用可能性ありです。少し嵩高なりの書き味ですが、インクの濃淡も残りますし悪くはない結果となりました。

 

次はb7シリーズです。…が、実は先んじて一通りテストしてみたのですが、微塗工とはいえやはり塗工量は多め。何で書いても滲みや裏抜けはないものの、ガッツリ乾かずに残ったまましばらくの時間が経ちました。書道よりも乾くまで待ったような気すらします。正直、万年筆のインクが乾くまで手が当たるような場所は書けません。

b7トラネクスト、ナチュラル、クリーム、バルキー、ライトと試しましたがすべて同様。にじみもなく濃淡も出てこれはこれで面白かったのですが……。bトラはともかく、ライトやバルキーも厳しいのは予想外でした。無念。

ここまでたまたま日本製紙品で試してきましたが、微塗工に関してはあまり変わらないかもしれません。OKピクシードやバルーニーでもなんとなく乾きにくそうな気はします(機会があればやりますが)。

 

 ここまで一気に駆け抜けるように試してきたので、流石に連休で暇を持て余していたとはいえ少し疲れたため一旦区切ります。思い出した頃にまたポツポツとやりますので暇があれば御覧ください。

印刷用紙から探す、万年筆向け用紙の旅 ⑦

今回はオペラシリーズの白系をメインにやります。

まずはオペラクリアマックスです。画像の色味が悪いですが、アイボリー系の白になります。一応クリームベースで白色度を高くしたという製品コンセプトのはずなのでクリーム寄りの白です。色味だけ違うかと思っても向上が違うと製品に差が出ることはままあるので、ひとつひとつあたっていきます。

 

4斤量で66.3~84.9g/㎡、46判換算で<57>~<73>。オペラクリームマックスとは一番薄い斤量が微妙に違うだけで、あとは同じです。

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オペラクリアマックス

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滲みも少なく、裏抜けもほぼなし。オペラクリームマックスとほぼ同等の結果が得られました。実用にするなら色の選択肢があるということになりますね。万年筆ならインクの色の選択肢が広がります。

 

次、オペラホワイトウルトラ。こちらも白色嵩高書籍用紙です。オペラクリームウルトラとは違い、1つ少ない3斤量で72.3~93g/㎡、46判換算で<62>~<80>、最も厚い斤量だけオペラクリームウルトラと同じです。

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滲みなく乾きも良好、良いです。裏抜けもオペラクリームウルトラに比べると無いに等しいですが、全くゼロではないのが惜しい。これは厚さを変えても不安が残る感覚でした。それでも悪くはない部類に入るでしょう。名前は姉妹品のように見えますが違う銘柄のようです。厳密に上市時期や抄造工場が違うとそういうこともありますよね。マークXマークXジオみたいな(適切か?)。

 

次はオペラホワイトマックスです。

3斤量で66.3~84.9g/㎡、46判換算で<57>~<73>、オペラクリームマックスよりひとつ規格が少ないですが、2斤量共通です。

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滲み無くこちらも良好。裏抜けもなし。ただし、思っていたよりは乾きが悪くなってきました。このあたりは塗工量の差もあるでしょうし裏抜けとトレードオフかもしれません。遅いと言っても体感10秒程度ですから、ライフのノーブルノートなんかとあまり変わらない程度でしょうし良好だと思います。爆速インク喰らいたちが異常だっただけ。

 

今回はここまで。次回はクリーム上質のアルトクリームと微塗工のb7シリーズに入ります。

印刷用紙から探す、万年筆向け用紙の旅 ⑥

 今回はオペラクリームです。厳密に言えば琥珀Nやクリームキンマリはクリーム上質という括りで、こちらが本筋の書籍用紙と言えますが、あまり気にされないと思います(今までの記事はなんだったんだよ、となってしまいますので)。書籍用紙のほうがコシが柔らかくしなやかですが、クリーム上質のほうが適度なコシで安価なこともあり、自費出版などではそちらのほうがニーズが高いかもしれません。今回は比較のしやすさを考えて少し長編にします。

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本家書籍用紙オペラクリーム

斤量は66.3~81.4g/㎡で4種類、46判換算で<57>~<70>です。柔らかなクリーム色で穏やかな印象です。

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が、それはそれ、これはこれ。吸水性がいいのかずいぶんとインクを持っていかれます。加えてかなりの滲み。通常の字幅より若干太くなったのではとさえ思うほど。

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そうなると気になるのは裏抜けですが、こちらも当然駄目。57g/㎡ではかなり抜けます。どんどん厚さを上げていきますが

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最も厚い81.4g/㎡でも裏抜けです。だいぶよくはなったのでもしかするとペン先やインクの条件により持ちこたえてくれるかもしれません。

 

さて、これだけだと記事としても短いですし、チマチマと書くのも飽きてきました。比較する上では戻って別の記事を見て、というよりはある程度まとまっていてもいいのではないかという気持ちもあり、今回はオペラクリーム系4種をまとめます。

 

次はオペラクリームHO。無印のオペラクリームを嵩高にした品種です。こちらは3斤量で58~68g/㎡、46判換算で<90>~<110>。東日本大震災での日本製紙石巻工場の状況を描いた「紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている」の本文に使われていて、かつ文中にも出てくるのでもしかすると意外と知名度があったりするのでしょうか。

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万年筆での筆記適性としてはやはり微妙。嵩高になったからといって……ということではないのでしょう。裏抜けに関しても今ひとつ。無印と大きな差が出ませんでした。

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さらに厚さを上げていきますが、最も厚い68g/㎡でようやく裏抜けはギリギリストップ。とはいえ、こちらもとめはね払いや文字が重なりインクの溜まる部分はかなり微妙で、おまけして及第点というレベルです。

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マイクロレンズで撮影してピントが合ってしまうということは目に見えるレベルと言っていい裏抜け具合なのかなとも思います。

 

実はここからさらに嵩高になったオペラクリームウルトラという紙があり、こちらはというと4斤量で70~93g/㎡、46判換算で<60>~<80>。正直どんだけ嵩高にするんだという気もしますがそれだけニーズが高いということなのでしょう……たぶん。筆記感はだいぶ嵩高らしいザクザク感が出てきたものの、引っかかるほどではないです。

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やはり抜けますが、以前よりはマシになっています。滲みに関してもまあなんとか。厚さを上げていきますが、こちらも93g/㎡でも残念ながら抜けます。惜しいようなラインまでは頑張っているのですが、いまひとつ。

 

実はこれで終わりではなく、さらに嵩高のオペラクリームマックスという用紙がございまして……。嵩高のインフレやー!ちょっと疲れてきています。

斤量は4種類、64~84.9g/㎡、46判換算で<55>~<73>。

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だいぶいいです。吸い取られるような感覚も薄くなり、にじみも気にならない程度です。代わりに乾きは爆速というほどでもなく、書き味も幾分ガサガサ感が強くなりました。裏抜けに関しても改善し、最も薄い64g/㎡の段階で裏抜けなし。良い結果になりました。これだけ嵩高にすればそれはね、ということなのかもしれませんが……。

 次回、おまけとしてオペラクリームのホワイト系をやります(まだあるんだ)。

 

印刷用紙から探す、万年筆向け用紙の旅 ⑤

 今回から微塗工に入ります。塗工紙などの定義は時折見直され、確か2010年前後に一度改変があったような気がします。厳密にはg/㎡あたりいくらg以上・以下の塗工量、という定義があるはずです。諸説あるのでここは置いておき。

今回試すのは白色微塗工書籍用紙コスモエアライト。

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ナチュラル系の色調でありながら微塗工で発色もよく、印刷再現性に優れるので写真なども使われる書籍向けに使われています。さて万年筆の発色はといいますと

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透けてはいるけど裏抜けもないし、滲みも見られず悪くないんじゃない?とお思いの方も多いでしょうけれども、実は彼氏、写真では分からない爆弾を抱えています。何を隠そう、乾きが悪い。体感15秒くらいはかかっています。厳密に測ればいいんでしょうけれども、ストップウォッチがないので諦めましたが。特にインクの溜まる部分が悪いです。縦書きする人、横書き左利きの人なんかは手が汚れるかもしれません。使い方にもよるのでしょうけれども、綴じたりしてメモ的に使うのは難しいかも知れません。

塗工紙は正直無理だろうとは思っていたものの、微塗工でもこれだとあとに控えているb7シリーズは雲行きが怪しくなってきました。

 次は一旦書籍用紙に戻ってオペラクリーム。

印刷用紙から探す、万年筆向け用紙の旅 ④

 今回はホワイトコハクライトです。白系の書籍用紙で上質よりやや軽量、上質のように目が覚めるような青白さはありません。白色度は84%。斤量は3種類で55g/㎡~83g/㎡、46判換算で<47.5>~<71.5>。

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ホワイトコハクライト

 乾きは爆速、書いた傍から乾いていきます。ペン先を置いているだけでどんどんインクが吸い取られていく。清楚そうな表情をしてガンガン吸い取ってくるサキュバスのような紙です。

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滲み気味。

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やっぱり……。

当然のごとく、裏抜けします。そんなに欲張ったらそりゃあ、ねえ……。でもまだ上に2斤量あります。ということで試してみると……最も厚い83g/㎡で裏抜けは止まりました。ただ、ペンを変えると若干抜けるのでこれもあくまでギリギリ抜けない下限という感じ。

軒並み書籍用紙を倒してしまっているので、試験方法に問題があるのではと疑い始めるレベル。ペン自体は身元のきちんとした万年筆で、シルバーンに至っては個人的に勝手に信頼している万年筆屋さんで調整してもらったものなので、インクダダ漏れとかそういった問題はないと思っています。

 次からは微塗工に入ります。微とはいえ塗工紙、どこまで影響が出るのか気になるところです。

次回、コスモエアライト。

印刷用紙から探す、万年筆向け用紙の旅  ③

 今回はニューシフォンクリームです。美味しそうな名前ですね。ラフクリーム琥珀Nよりさらに嵩高、軽やか。同じ米坪はありませんが、近いもので比べるとだいたい10μくらい厚さが上です。少ない米坪で厚みがあるのでkg単価で考える上ではメリットのある商品、ということになるのでしょう(あくまでkg単価が同じ場合に限りますが……)。斤量は60~90g/㎡。46判換算で<51.5>~<77.5>。

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ニューシフォンクリームです。

 さて本来の目的である筆記適性。

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 字が汚いのはもはや目を瞑ってもらうしかないのですが(ペン習字を始めたい……)、ところどころ滲んでいますね。書いていても吸い取られるような感触が少々。

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若干裏に抜けています

裏抜け限界を試すべく厚さを上げていきますが、今回は2番目の70g/㎡で裏抜けはストップしました。

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70g/㎡の裏。抜けていない。

厳密には若干透けてはいますが、両面から筆記してみても抜けるということはなく、比較的問題なく使えました。滲みにおいても若干軽減され、これはこれでコシが弱く柔らかかつ少しザクザクした紙質に書き込みたい人にはありかもしれません。

ただ、念には念を入れて90g/㎡で試した際に若干怪しげな裏抜けのグレーゾーン的なシミが裏に出ていましたので、ロットや万年筆、インクによる差は発生しそうな気がします。

 類似した名前で色味の違うホワイトシフォンcomという主にコミック方面やムックで使われる嵩高用紙もありますが、こちらは102.7g/㎡の1斤量で用途も限定的、用紙自体手に入る気がしないので飛ばします。ちなみに落書きした感想は、平滑性が低いのか表面加工をしているのか、ペン先の滑りが悪く、書きづらいです。

 次回はホワイトコハクライトです。

印刷用紙から探す、万年筆向け用紙の旅 ②

 予告どおり、今回はラフクリーム琥珀Nです。琥珀Nより20%程度嵩高に抄造されている銘柄ですが、相性やいかに。

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ラフクリーム琥珀Nです。

斤量は3種類で72.1g/㎡、77.3g/㎡、83.1g/㎡です。46判換算では順に<62><66.5><71.5>となっています。ラフ調で琥珀Nよりも表面はザラザラ系です。平滑性という意味では琥珀Nのほうが書き味としては好みですが……。嵩高になった分、層が大きくなりますが果たしてその分裏抜け耐性や滲みには好影響が出ているのでしょうか。

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72.1g/㎡品ですが、滲みが強めでやや苦しいですね。乾きは速いのですが(というかむしろインクを吸い取られているような感覚)、それが故にか滲みと裏抜けは強く出ています。

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裏抜け

 全斤量試したのですが、最も厚い83.1g/㎡でも72.1g/㎡と変わらない程度の裏抜けが見られました。まだ試すべきサンプルはありますが、この時点で「嵩高でも結局は空気層が多いだけで繊維は少ないわけだから、インクのキャパシティが増えるとは限らないんだろうな」というのは薄々感じています。意地の悪い言い方をすれば、スカスカなので同じ程度の紙厚のものに比べるとにじみや裏抜けはむしろひどいでしょう。もしかすると吸取紙というのはこういった系列から選出しているのかもしれません。

昨今の流行りからすると嵩高よりもトモエリバーやビューコロナ、オークのような手帳用紙系の、薄いけど懐の深い薄葉紙のほうがたくさんのページを綴じられるので人気なのだろうとは思いますが、とりあえずあんまり他の人が試していなさそうなものを埋めていく意味でも嵩高を試していくことにします。

次回はより嵩高のニューシフォンクリームです。